カウンター・カルチャーをベースにしたレタードファッションスタイル(ラグジュアリーストリートスタイル)を考察してみました。
これまでの軌跡、根源にあるカルチャー、代表的なコーディネート例、代表的なラグジュアリーブランド、代表的なストリートブランド、代表的なスポーツブランドのカテゴリーに分けて説明しています。
背中にプリントされたインパクトのあるレタードメッセージが特徴的なスタイルなので、レタードファッションと呼んでいます。ラグジュアリーストリートスタイル(ラグスト)と呼ばれるスタイルと同じスタイルとなります。
via pic GQ JAPAN
レタードファッションのこれまでの軌跡
・【2008年】リカルド・ティッシがジバンシイのメンズデザイナーに就任する。高級素材を使用したアメリカンカルチャーからインスパイアされたストリートベースのコレクションを数シーズンにわたって発表する。
・カニエ・ウエストがスタイルアドバイザーのヴァージル・アブローと共に、パリコレに頻繁に訪れるようになる。
・カニエ・ウエストがジバンシイ、メゾン・マルタン・マルジェラ、ラフ・シモンズ、リック・オウエンス、バレンシアガなどのラグジュアリーブランドから影響を受ける。
via pic mtlblog
・カニエ・ウエストのスタイリングが、BAPEなどを着用したHIP HOPをベースにしたスタイルから、ラグジュアリーブランドをミックスした独自のラグジュアリーストリートスタイルに変化する。
・【2009年】カニエ・ウエストがデザインしたルイ・ヴィトンのスニーカーが発売。
・【2009年】カニエ・ウエストがナイキとのコラボモデル「AIR YEEZY 1」をリリースする。
・Supremeがストリーブランド以外の様々なブランドとコラボレーションモデルを頻繁に発表するようになる。
・様々なハイブランドからスケーターカルチャー、ストリートカルチャーをベースにしたコレクションを発表されるようになる。
・Highsnobietyなどのウェブサイトから発売前の商品のリーク情報がいち早く発信されるようになる。
・Facebook、TumblrなどのSNS上でSupreme、Nike Air Jordan、BAPEなどの希少性の高いストリートブランドアイテムを着用した自画撮りが流行りだす。
・【2012年】アメリカのストリートブランド「SSUR」がCOMME des GARCONSのロゴをモチーフにしたデザインのアイテムが話題となる。
・【2013年】アメリカ・ニューヨークの「40oz NYC」がGivenchyのスターロゴをモチーフにしたデザインのスナップキャップが話題となる。
・【2013年】リック・オウエンスがアディダスとコレボレーションしたスニーカーを発売して大人気となる。
・【2013年】ヴァージル・アブローがデザインした「Pyrex Vison」がSNS上で話題を呼び、世界中のキッズの間で大人気となる。
・【2014年】ヴァージル・アブローが「Pyrex Vision」をワンシーズンで終了して、後発のブランド「OFF-WHITE」をスタートする。「Pryrex Vison」のデザインを踏襲した大胆なプリントデザインが世界中で話題となる。
・【2014年】カニエウエストがナイキとのコラボモデル「AIR YEEZY 2」をリリースする。
・【2014年】Fear Of Godのデザイナーであるジェリー・ロレンゾ・マニュエルがデザインしたカニエ・ウエストの「Yeezus Tour」のライブグッズがアメリカのストリートシーンで話題となる。
・【2014年】世界中でPyrex Vision、OFF-WHITE、Fear Of Godから影響を受けたストリーブランドが世界中で発表されるようになる。
・【2014年】ヨウジヤマモトとアディダスとのブランド「Y-3」の「QASA HIGH」が世界中で人気となる。
・【2015年】カニエ・ウエストがNIKEとの契約を解除して、ADIDASの新たな契約を結ぶ。カニエ・ウエストが着用した本格的なランニングスニーカー「ウルトラブースト」が世界的に有名なモデルとなる。
・【2015年】カニエ・ウエストがアディダスとのコラボレーションモデル「Yeezy Boost」シリーズをリリース。流行に敏感なストリートキッズ以外の一般大衆層、海外セレブなどの富裕層の間で大人気となる。
・【2016年】現在に至る。
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レタードファッションはカウンター・カルチャー系ファッション
テッズ、テディーボーイ、モッズ、パンク、ヒッピー・ボヘミアン、グランジ、ハードコア、ヒップホップなどに代表されるカウンターカルチャー系のファッションと同じ系統のファッションとなります。
パンクを引き合いに出すと、当時のイギリス政府を皮肉ったメッセージのガーゼシャツ、伝統的なチェック柄に安全ピン、缶バッジをつけた洋服を着ることで、若者は反体制的な姿勢をファッションで表現していました。
via pic Sex Pistols Tour of America 1977- For Merchandise use only-Not for DVD or CD usage
ヒッピー・ボヘミアンを引き合いに出すと、当時のアメリカがベトナムへ進軍したベトナム戦争の反対運動が発端となり、自由や愛をテーマにしたピースマークやレインボーカラーの洋服を着ることで、若者は反体制的な姿勢をファッションで表現していました。
レタードファッションの根源にあるのは、「長いものには巻かれたくない反体制的な考え方への共感、ヒップホップスターをベースにした成り上り人生への憧れ、過激な歌詞で多く人を魅了するロックスターへの憧れ、異次元のプレーで多く人を魅了するスポーツ選手への憧れ、スケートボードやBMXなどの等身大のスポーツカルチャー」などがミックスされたものだと考えられます。
via pic tumblr
代表的なコーディネート例
・ラグジュアリーストリートブランドのアイテムを取り入れたコーディネート
・スポーツアイテムを取り入れたシンプルなモノトーンコーディネート
・ハイブランドのブランドロゴをモチーフにしたアイテム
・ブラックカラーのベースボールキャップ
・ブランドロゴがプリントされたTシャツ、パーカー、スウェット
・ナンバリングがバックプリントされたTシャツ、パーカー、スウェット、ネルシャツ
・ロング丈のカットソーをインナーに取り入れたレイヤードスタイル
・ハーフパンツとレギンスを組み合わせたレイヤードスタイル
・裾幅が絞られたスキニータイプのブラックカラーのボトムス
・AIR JORDAN、AIR FORCE 1などのバスケットシューズ
・オールホワイトカラーのミッドカットスニーカー
・キーチェーン・ストラップタイプのアクセサリー
・ブラックカラーのバックパック
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代表的なラグジュアリーブランド
・GIVENCHY
・Pyrex vision
・OFF-WHITE c/o Virgil Abloh
・Fear Of God
・Rick Owens
・Y-3
・Yeezy
・Vetements
・Maison Martin Margiela
・Marcelo Burlon
・HOOD BY AIR
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代表的なストリートブランド
・Supreme
・C’est Vingt-Trois
・F.C.Real Bristol
・Les (Art)ists
・MORT paris
・Palace Skateboards
・SSUR
・40 OZ NYC
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代表的なスポーツブランド
・Nike
・Adidas
・Champion
・NewEra
・Mitchell&Ness
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まとめ
・レタードファッションとは、ラグジュアリーブランドとストリーブランドとスポーツブランドをミックスしたモノトーンベースのコーディネート。
・ブラックのロゴ入りのベースボールキャップ、インパクトのあるロゴがプリントされたパーカー、ブラックのレイヤードパンツ、オールホワイトのバスケットシューズを履けば、直ぐにレタードファッションになる。
・カニエ・ウエストとアディダスとのコラボレーションモデル「Yeezy Boost」の勢いがまだまだあるので、レタードファッションのトレンドは世界中で続きそうです。
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